11月の植木屋
私は秋が好きです。
キンモクセイの香りに始まるこの季節は、何か一枚羽織って散歩などしたいなと考えますが、これから暮れまでは、我々の業界は繁忙期となりまして、お休みは庭仕事にそぐわぬ悪天候となります。晴耕雨読を地で行く職種ですね。農家さんと近い感覚かも知れません。
我々植木屋はお庭の床屋さんではありません。と言うと語弊があるかも知れませんが、われわれの行う剪定にはカット以外の要素を内包しているからです。
お世話になった親方が言っていました。「切っている様で、枝を造っている」と哲学や決め台詞ではなく、そうでなくては成り立たないのです。
お庭の空間は限られています。モミジを自由に伸ばして、風にそよぐ枝先を楽しみたいのはもっともですが、決められた空間でそれが許されるかと言うと現実的には難しい。
限られたスペースの中で、疑似的な自然を演出するには剪定が必要です。更に踏み込むと剪定に対する対象樹木のリアクションをコントロール出来なければいけません。どういう事かと言いますと、カット量とカットによる枝の配置が、新芽を誘発する箇所と量にどれほど影響するかを想像することです。枝の成長力をカットで抑制して、残した刃の向きなどで新芽の発生方向をコントロールするのです。
と、長く難しい話を要約すると、親方の言葉に帰結することになります。
その感覚を一本の木から拡張するとお庭全体のコントロールが出来るようになります。
こちらは今年2度目の刈込作業です。
秋の刈込作業は整える程度の刈込量です。夏前の1度目と比べますと、枝ゴミの量は半分以下です。秋も10月の中頃には植木たちも成長をやめて、来年への力を蓄える様になります。
この頃に刈込作業を行うと、来年のGW頃まで整った姿を保ちます。
こちらのお庭の様に長い生垣ですと。より長い期間整っていた方がご近所さんや歩行者の方々の印象もいい様に思えます。
以上、秋の好きな庭竹でした。
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