植木屋と剪定鋏(前編)

この記事は特定のメーカーを非難する事が目的ではありません。剪定鋏や植木鋏に興味のある方向けの内容になっています。
さて、思うところあって昨年末にフェルコ#11を購入しました。
手や指関節等の負担軽減になればと期待していましたが、1日使うまでもなくいつもの昌国の剪定鋏に戻しました。柄(グリップ)の大きさを差し引いても残念ながら使いにくいです。
理由1,剪定した枝が皮一枚残ってしまう。
これはいただけません。仕事が二度手間になりますし、ケヤキなどの大きな木の上では精神的にもよくありません。
刃に問題があるのかと、サッとタッチアップ程度に研ぎ直しても改善しません。何故かと鋏を観察しましたら、受け刃の裏(切り刃との接地面)が面取りされていました。面取りの幅も先から元にかけて一定ではありません。切り刃の噛み込み(受け刃で切り刃を傷つける)を防ぐためかも知れませんが、面取りの幅がありすぎます。髪の毛一本分程度なら有効かも知れませんが、この受け刃の面取りが皮一枚の逃げ場になっているのかと考えます。
下画像のフェルコですが、受け刃のエッジ分が光を反射しています。光の反射面=面取りとなります。
刃物に対する考え方は人それぞれですが、個人的には刃の裏はど平面であり、切り刃面との接点がゼロになる、すなわち刃かと考えています。
比較の為、昌国と並べた下画像です。昌国はエッジが立っています。
理由2,切れ味が悪い。
主観の話ですから難しい問題ですが、使用感としては明確に昌国の剪定鋏(数年の使用により研ぎ減っています)の方が切れます。葉っぱや細い枝では違いはわかり難いのですが、フェルコは少し太い枝(割り箸程度)ではより強い握力を必要とします。職人仕事では看過できない程の差があります。
でも何故でしょうか?

再度鋏を観察。(昌国との比較)
まず刃の硬度は十分です。(上画像、手袋着用の上、刃の裏を比較対象の刃の先端峰側で引っ掻きます。柔らかい→傷が付く。固い→滑る。色々な鋏で試すとコツが分かります)
刃の全体的な厚みは昌国よりもかなり薄いです。(昌国の刃も個人的に若干
薄く加工しています)
芯棒から刃の先までの距離(支点力点作用点)は昌国の方がやや短いです。またフェルコは剪定鋏特有のハマグリ刃感はありません。そこで刃先を二段刃厳密には三段刃(極狭い幅)にして疑似ハマグリ刃可しても切れ味は変わりません。
悩みます。
この刃であれば切れるはずです。庭にある色々な枝を切ってみますが,切れ味が悪い上に余計な力を使います。ちなみに上画像1.の「鋏正宗」は小振りな芽切りですが、びっくりするくらい太い枝も気持ち良く切れます。上画像2.の様なサワラや松の手入れで重宝します。
そこで思い立ちます。なんかカボチャを切る感じに近いかなと、料理をされる方は解るかも知れませんが、カボチャは堅くて切りにくいと言われます。
しかし、個人的には硬さよりも、果肉の密度により包丁の真剣白刃取り状態が起こり、刃の進行を止めているため堅く感じるのかと。
現にある程度スライスしたカボチャは特に堅くはありません。
仮説1.
もしかしたら受け刃の問題かも。そこで昌国と比較します。受け刃の刃(切れませんが)の角度に違いがあります。右フェルコに比べて、左昌国の方が角度がついています。これは切れ味に影響するのか検証が必要です。
幸いフェルコは各パーツを交換前提で販売していますので加工してもよいかと。パーツ交換=長期使用は今回の購入理由(SDGs)のひとつでもあります。
仮説2.
パーツ交換ゆえの感触?。パーツ交換が出来る=各部品の集合体ですから、部品の精度や組み立ての精度も手に伝わる感触に違いが生まれる要因となる可能性もあります。これまで替え刃の手道具は使った事がありませんので精査が必要ですが、この仮説2.が切れ味等に影響しているとしたら改善策はあまりないのかも知れません。

長くなりましたので、続きは加工等の検証をお待ち下さい。ちなみに昌国作剪定鋏は1973年生まれとの事です。

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