立春 世田谷の植木屋
立春という響きが好きです。
なんともめでたい様な特別な語感があります。
さてこの時期の植木屋(庭師)はのんびりとしたものです。いつものお庭の手入れは済んでいますから剪定仕事はほぼありません。
この時期は垣根竹垣の掛け替えや植栽に関する仕事や、伸びすぎた枝の大規模な切り戻しや傷んでしまい倒木の危険があるような樹木の伐採作業をしています。
こちらは昨年からお世話になっているお庭です。
建物に近く枝ぶりは屋根にかかってしまう程大きなシラカシの伐採作業です。
昨年初めて剪定した際に登り込んで作業をしていると植木自体が揺れることが気になったのですが、今回切り倒してみると根元から3mほどの高さまで幹の中心部が腐って空洞化していることが分かりました。
大きな植木ですから伐採作業にはクレーンを使うのですかとお客さんから質問がありましたが、我々はこういった作業にも慣れていますから人力で十分に対応できますと答えました。
私が小僧(修業時代)の頃は植木屋(庭師)達の安全意識は今とはずいぶん違い少しくらい危ない仕事を平気な顔をして作業することを自慢するような職人が多くいました。怪我と弁当自分持ちの時代です。その頃は胴縄と呼ばれる安全帯は建築業界のものを流用していました。建築や工場などの規格統一された環境では有効な安全帯では、半自然といった庭木や公園などの大きな樹ではあまり役には立たないというのが現実でした。
現在はロッククライミング由来のツリークライミングを経由して海外のツールが我々植木屋にも知識として入ってきました。比較的若い世代は多くのツールの利便性をYouTubeなどで学び使用しています。古い時代を知る私から見れば圧倒的な安全性の向上です。今現在これらのツールなしでの作業は考えられません。
話がそれましたがシラカシの株本です。中心部は空洞となりその周りは組織が腐り柔らかくなっています。どんな木でもこの株本は硬くエンジンチェーンソーでも切るのに時間が掛かりますが、最も固い中心部がありませんので今回は比較的容易に切ることが出来ました。
以上、春の気配はまだ先でしょうかと感じる庭竹でした。
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