お庭の改修工事 その2
お庭の改修工事の続きです。
剪定及び伐採作業が終わりましたので、石工事を始めてゆきます。
お庭の中には既存の景石や飛び石が多すぎるほどありますが、メリハリがなくぼやけた印象のお庭のように感じます。
今回の改修工事は『お任せ』とのご依頼をいただいておりますので、私なりに良くなるように改修作業を始めます。
まず、既存の景石のうち移動する必要はないものの、傾きなどが気になる箇所を直していきます。とはいえ、今回は図面などはありません。私の頭の中にあるイメージを具現化するだけです。
画像では伝わりにくいかも知れませんが、大きくて重い石ですから、チェーンブロックという手動の移動式ウインチを使い吊り上げながら作業を進めます。一石ずつ石の向きや傾きを確認しながら修正します。
続いて大きな切り株も引き抜いてしまいます。
庭の前面は広く砂利敷にしますので切り株は邪魔になってしまいます。
スコップ等で掘り起こすとなるとかなりの時間を消費しますが、チェーンブロックを使いますと随分楽に掘り上げることができます。
庭全体のレイアウトはこのような形に納めました。前面を広く砂利敷として大きな石を組んで庭の輪郭としてあります。
お客さんとの打ち合わせの中で「お寺」「禅」「旅館」といったキーワードがありましたので、私なりに解釈し、極力シンプルに世田谷の植木屋らしいスマートな庭の造形を目指します。
長期間の作業でしたので、雨に降られる日もありましたが、せっかくの雨ですから土で汚れた石たちをブラシでクリーニングします。
今回移動していない石積みや階段も洗ってしまいます。すると石本来の色が現れ庭が幾分若返った印象となります。
庭のレイアウトが決まったら、砂利敷きの前にしっかりと整地をし、石の際まで平らにします。
続いて、防草シートを敷いて砂利を運び込みます。砂利を敷くことでかなりの防草効果がありますが、防草シートには砂利と土が混ざるのを防ぐ役割もあります。大雨が降ると土が浮いて砂利が沈むため、長い時間が経つと砂利と土の境目があいまいになり、結果的に雑草が生えやすい状況を作ってしまいます。
同時進行で、小庭をふたつ進めます。
それぞれ若い人に任せます。
材料と大まかなレイアウトを指示し、あとはお任せです。本人たちは面白がって本気になります。作業が面白いと感じれば、自然と真剣に取り組みますし、彼らの経験値も上がります。
今後、お庭の手入れ(剪定など)で訪れるたびに、自分の仕事を見ることになります。手抜きや妥協は自分だけがわかるものですし、それが最も重要な経験になります。
私は、お客さんに提供できる範囲であれば、敢えて口出しはしません。
小庭はそれぞれの個性が垣間見えますが、庭竹の提供するお庭としても十分に通用すると思います。私は個人的にシンプルなデザインを好みますので、人によっては寂しいと感じるかもしれませんが、世田谷の植木屋らしくて良いと思っています。
私は職人であり『庭竹』を運営する経営者でもありますから、普段から作業クオリティーや予算、庭竹としての個性などを意識していますが、それらいつもの視座を少し変えて、広くインターネットや世界から私の仕事を見れば、これも一つの#CoolJapanなのかと思ったりします。
さて、次回は竹垣編です。
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