鍛冶の会 9月
『鍛冶の会』自称広報に庭竹です。
私の勝手で広報活動をしていますから、自称広報という訳で、これもボランティアの延長と考えています。因みに『鍛冶の会』は次大夫掘民家園に所属するボランティア団体のひとつです。
鍛冶の会の火床(ホド)です。
ひとつの鞴(手動送風機)ひとつの火床にふたつの金床ですから、二名まで同時に作業が出来ます。鍛接や焼き入れと言った繊細な作業の場合は片方は遠慮します。また、新人さんや課題制作者は優先的に作業できるように皆で気配りをしながら活動をしています。
さて、9月も末になりますと、11月23日勤労感謝の日に行われる『民家園まつり』に向けて各自作品造りに励んでいます。
こちらはトライアングルを造る人。
昨年も数種類のトライアングルを出品して完売していました。音は鉄の面白さのひとつです。
以前、鍛冶の会の会員が実験をしました。同一素材を準備して、
1,火に入れたもの、
2,火に入れて叩いたもの、
3,火に入れて叩きさらに捩じったもの、
4,無加工のもの(基準)
無加工のものを基準にすると、火に入れただけのものは、それよりもやや澄んだ音になります。火に入れて叩いたものは高音になるのか、より澄んだ音になります。更に捩じったものは倍音が出るのか、音色に揺らぎがあります。実験結果の面白さに感動した憶えがあります。
その方は『民家園まつり』や親子鍛冶教室で風鈴造りに熱中されていましたから、よりよい音色にと考えたのかも知れません。
時が過ぎて今はトライアングルを造る人が現れました。『民家園まつり』では刃物以外にも鉄製品を出品します。各会員のアイデアで販売ブースを賑やかなものにしています。
こちらは鍛接材です。
40年ほど前に廃業された北海道の鍛冶屋さんから、会員がいただいたものです。鍛接材とは、地金に刃金を鍛接する際に、地金と刃金の間に振りかける材料です。ホウ砂・ホウ酸・鉄粉などの混合物です。
昔の話ですが、世田谷区には数軒の鍛接材メーカーがありました。刃物の産地といえば、新潟の三条や与板、他にも関・堺などが有名ですが、なぜ世田谷区に鍛接材メーカーが点在していたのか、調べている会員がいます。ですが、いまだ答えは出ていません。大田区ならば理解できますが、地の利もない世田谷で…と考えてしまいます。
さて、上画像は経年により固まってしまった鍛接材を、薬研を使って粉砕しているところです。私は昭和の生まれですが、薬研を使ったのは鍛冶の会に入ってからです。
私は思考回路が職人仕様にファインチューニングされているようで、常に効率を考えてしまいます。薬研を前後に動かすだけでは正解ではないのでは?と考え、少し斜めにして前後動作させてみたり、投入する材料は多めがいいのか少なめがいいのか…と、実験めいた作業をしてしまいます。
以上、ボランティア的広報活動でした。
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