鍛冶の会 焼き入れ

鍛冶の会 自称広報の庭竹です。

当会では各会員それぞれが技量に合わせて鍛冶作業と向き合っています。会の皆さんが造っている物を見たり、希望の姿や完成形に近づけるためにどのようにアプローチするのかを見ているのも楽しいものです。

鉄という素材は叩くことにより延ばしたり細めたりは出来ますが、大きくしたり厚くする事は困難です。そうした素材的制約の中で、フライパンや花瓶、S字フックや、トライアングル、鉄の玉を造る人がいます。

私はと言いますと、職人が使う手道具に惹かれます。中でも鑿、鉋、玄翁が好きですから、それらを上手に作りたくて仕方ありません。

さて、これらは今年のお正月明けから作り始めたものです。

鑿が三本に切り出し小刀が一本、釘締めが一本です。各種鑢で形を整えてゆくのですが、鑿は決まり事が多く、それを外すと笑われますので根気よく形を詰めてゆきました。

形が整えば焼きを入れるだけですが、その前に一工夫です。素材表面の手指の油をしっかり落として砥の粉を素材に塗ります。

砥の粉は焼き入れの均一化や素材の肌の黒い色付けに役立ちます。ずっと昔の誰かが考えたのか思いついたのか分りませんが、鍛冶屋の知恵です。

焼き入れ当日は夏の終わり頃でしたがまだまだ暑く、急冷水を所定の水温に保つために、氷を一袋半使いました。

刃金の部分は梨地模様になるようにと会では教えられています。

さて、刃物であれば焼き入れ焼き戻しを終えると研がなければなりません。焼き入れ後の刃物は屈んだり反ったり捻じれたり、多少変形しているものです。その変形を叩いて修正しますが、乱暴に叩きますと割れたり欠けたりとお釈迦になってしまいます。

刃物の機嫌を見ながらだましだまし叩いてゆきます。この作業を地道に行える人は結果的に良い刃物を造れる人になります。

研ぐと言いましても全く刃のない状態から始めますので、鑢などである程度削り落として研ぎ始めます始めます。気が遠くなるほど時間が掛かる作業ですから、せっかちな私は嫌になってしまいます。それでも段々刃が付いてきますと中々カッコイイじゃんなんて思うのですから、あながち研ぎも嫌いじゃないのかも知れません。

私は家に戻ってまでは研ぎませんから、会の活動時間内でタイムアップです。

段々と鋼は白く地金は曇った色にと明暗がはっきりとしてきます。

現状では荒砥ですから中砥まで進めればよりすっきりとした見た目になると思います。

以上 研ぎも上手くなりたい。庭竹でした。

世田谷の植木屋 『庭竹』

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