素人鍛冶の鑿 鍛冶の会
庭竹の所属する鍛冶の会はボランティア団体です。
自大夫堀民家園内で鍛冶作業の実演と解説をしています。そもそも鍛冶経験のない者たちが集まった会ですが、平成15年に発足し古い者は20年程のキャリアがあります。
しかし、いかに鍛冶作業に興味があったとしても、素人達が自己流で始めたところで技術的な進歩はどうしても遠回りしがちです。
鍛冶の会の幸運
江戸鍛冶『左久作』の御先代と当代が顧問として携わってくださったことが当会の運の良さだと私は考えています。
月島にて三代続く誂え鍛冶ですから所謂コテコテの職人さんです。その職人さんが素人向けのカリキュラムを構築して我々に指導してくれたのですから感謝しかありません。
私も職人(植木屋、庭師)ですから、素人さんに技術を教える(伝える)事の難しさは容易に想像できます。私は御先代にお会いすることはできませんでしたが、なぜ顧問を引きくけて下さったのかお聞きしたい気持ちがあります。
さて、前置きが長くなりましたが、当会顧問『左久作』師匠は誂え鍛冶ですが中でも鑿鍛冶として名を馳せています。
ですが、我々弟子たちの中で鑿を造る者がおりませんので、無謀にも私は今年のテーマとして鑿(1寸角打ち)を選びました。
今年の初めから造り始めて9月の終わりに焼き入れまで漕ぎつけました。
焼き入れ焼き戻しが終わってしまえば研ぐだけですが、研ぐといってもこれがまた時間の掛かる作業となります。
まずはウラの当たりを確認しつつ必要であれば歪みの修正をします。
修正の必要がなければそのまま表を研ぎおろしてゆきます。予め鑢などで削り落とすのですが、それでもその先は遅々として進まない研ぎの作業です。
幾らか研ぎも進んでゆきますと、上画像の(刃左側)様に鍛接不良が確認できるようになったりして、どっと疲れたりしますが素人なんだからと開き直ったりもします。
もう一本は素直に鍛接出来ていたようで安心しました。更に研ぎの制度をあげたら久作師匠にお見せしなければいけません。
後日、月島の久作師匠の元へ出向き、制作した鑿を見ていただきました。
鑿として、機能面でと幾つかのご指摘をいただきましたが、それこそがアドバイスであり指導となりますので、とても有難く感じます。次作はご指摘いただいた点を改善してより鑿らしいものが出来るように励みたいと思います。
以上、来年も引き続き鑿をテーマとする庭竹でした。
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